交通事故の起訴猶予処分とは

交通事故が起き、人を死傷させた場合には、加害者は被害者に対する損害賠償請求とは別に人に怪我を負わせたことについての刑事責任が問われます。

この刑事責任については、検察官が警察の捜査資料などから起訴するかどうかを判断するのですが、起訴しない事もあります。

この起訴しない理由の一つに「起訴猶予処分」というものがあります。

交通事故の刑事裁判について

交通事故の内容や被害状況によって、刑事裁判になる場合と不起訴になる場合がありますが、重大事故でなければ起訴される確率は2割に満たないと言われています。また起訴され、裁判になる場合でも、正式裁判にならず、略式起訴による簡易な裁判になることが多いです。

【起訴された場合の裁判の種類】

正式裁判 飲酒運転やひき逃げ事故など悪質な交通事故。

被疑者が犯行を否認している場合

懲役刑や禁錮刑など略式裁判できない重い量刑の裁判

略式裁判 100万円以下の罰金刑となる交通事故

 

不起訴処分について

誤認逮捕などで該当する罪がない場合を除き、不起訴となる一般的な理由には、「質疑不十分」「起訴猶予」の2種類があり、交通事故の場合には「起訴猶予」になることが多いのが特徴です。

「質疑不十分」による不起訴

被疑者の勾留期間ギリギリまで捜査しても、有力な証拠が得られないなど起訴は諦めざるを得ない場合には「嫌疑不十分」という理由で被疑者を釈放しますが、交通事故では様々な証拠が現場などに残ることが多いため、「質疑不十分」にはなりにくい傾向にあります。

「起訴猶予」による不起訴

起訴して裁判で有罪にできるだけの証拠もあるのですが、被害者の傷害の程度が軽く、被疑者に悪質な違反歴がなく、加害者と被害者との間で示談が成立しているような場合に、検事の温情によって不起訴になるのが「起訴猶予」です。

被害者が厳罰を望まない「嘆願書」が得られると検察庁から起訴猶予処分、不起訴処分などが得られる可能性がさらに高まります。

被害者の「不起訴処分」に対する不服申立について

交通事故の加害者の不起訴処分について、被害者や被害者遺族らは、「検察審査会」や「高等検察庁」に対して不起訴処分の不服申し立てを行うことができます。

良くある具体例としては「過失運転致死傷罪」で起訴されているのに、道路交通法(ひき逃げ)で不起訴とされる事件やその逆の事件などで、片方の罪が成立すると自動的に成立する罪が不起訴になるのはおかしいと不起訴不当を訴えるものです。

検察審査会への申立

現実的に不服申し立てができる唯一の方法になり、2009年に検察審査会法も改正されたことで、検察審査会の決定に対する訴追義務が課されるなど実効性ある制度として生まれ変わりました。

検察審議会では、20歳以上で選挙権を有する国民から選ばれた11人の民間人によって構成された審査員によって協議されます。

裁判員制度と同様に審査員に選ばれた人は、原則として辞退できませんが、学生や70歳以上の高齢者、重い病気を患うなどやむを得ない理由があれば辞退することができます。

11人の審査員の過半数6名が賛成すれば不起訴不当の決議となり、8名が賛成すれば起訴相当の決議となります。

「起訴相当」の議決がなされた場合は、第二段階の審査を経て、この結果によっては検察官の意思は関係なく強制的に起訴手続きが行われることになります。

検察審査会制度 交通事故の不起訴に対する不服申立制度について

高等検察庁への申立

地方検察庁の検察官が下した不起訴の判断に対して、上級検察庁である高等検察庁の検事長へ指導を求める方法となります。

この方法は、被害者の権利を守る制度としてではなく、高等検察庁の検事長が、管轄区内の地方検察庁職員を指揮監督する立場にあることを利用されるものです。

申立てがあると、不起訴処分について検討することになりますが、その結果、理由が無いとされて不起訴のままということもあります。

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