心神喪失時に起こした事故について

心神喪失時の事故とは?

てんかん等による精神上の障害により交通事故を起こしてしまった場合には損害賠償を負わないというものです。

民法では「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、 その賠償の責任を負わない。

ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない」と規定されています。

故意や過失に該当するのは、医師から運転を禁止されていたのに運転した場合などです。

また運転手は責任を負いませんが、車を運転させていた会社などは、「運転供用者」として責任を負う可能性があります。

以前は「てんかん」は運転免許の欠格事由だった。

以前は「てんかん」は、自動車運転免許の欠格事由だったのですが、2002年6月の法改正で「発作の再発する恐れがないもの、発作が再発しても意識障害 および運動障害がもたらされていないものならびに睡眠中に限り再発するもの」については欠格事由から除外されています

心神喪失時の事故で有罪となった判例

「てんかん発作」で意識消失が原因の死亡事故で禁錮の実刑となった判例

2008年3月に神奈川県横浜市を運転していたトラックの運転手が”てんかん発作”で意識を失ってしまい、コントロール不能となったトラックは歩道に突っ込んでしまい歩行者2人を死傷させた事件がありました。

この事故で、ドライバーであった45歳の男は自動車運転過失致死傷罪で横浜地裁は2009年3月18日、禁錮2年8か月の実刑判決を言い渡しました。

実刑判決の理由

実刑判決となった背景はトラック運転者(当時44歳)は突然意識を失う“てんかん発作”の症状がありましたが、事故当日は症状を抑える薬を服用していなかったことや過去に意識喪失を原因とする事故を起こしていたことがわかったためです。

横浜地裁は「症状緩和に必要な薬を処方されながら、これを飲むことを相当期間に渡って怠った」と認定し、「過去にも同様の事故を起こしており、事故は予見可能だった」と指摘して「薬を処方どおりに服用していなかったことが事故につながった。被告の過失は大きい」と実刑判決を言い渡しました。

 

「てんかん発作が出ても運転した事故で、執行猶予の有罪判決」

2001年10月、山形県の県道で、てんかん発作の前兆を軽視してクルマの運転を続け、発作を起こして死亡ひき逃げ事故を起こした49歳の男に対して執行猶予つきの有罪判決を命じた。

事故の内容

県道で53歳の女性の運転する原付バイクに追突し、路上に投げ出された女性を約25m引きずって走行して死亡させた事件。

運転者は「てんかん」の持病があり、事故を起こす直前に軽いめまいを感じていたため、発作を抑える薬を服用したが意識を喪失して事故を起こしてしまいました。

山形地裁は「発作の前兆を予見することはできた」と認定しましたが、「事故発生当時、被告は発作によって心神喪失状態であった」として”ひき逃げ”の責任は問えないという判断。

裁判長は「被告は発作の前兆を自覚することはできた。薬を服用している点からもこれは確認できる。運転を自粛する注意義務は果たせた」と指摘し注意義務に反していたとして業務上過失致死罪を適用し禁錮1年6か月(執行猶予3年)の有罪判決を命じました。

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