損害賠償額の算定基準について

損害賠償額の算定基準について

交通事故の損害賠償の算定については3つの基準があります。

過去の交通事故で裁判で決着した損害賠償額により計算された裁判所基準というものが最も適正な損害賠償額になります。

また損害賠償請求には被害者に対する最低限度の補償額を基準に計算された自賠責基準と両者の中間である任意保険基準があります。

損害賠償額計算基準のメニューについて

裁判所(弁護士)基準

裁判所が判決する際に使用する基準であり、最も合理的で適切な損害賠償額です。

そして3つの基準の中で、損害賠償額がもっとも高くなる計算方法になります。

弁護士を使った損害賠償請求の場合には、この計算方法が用いられます。

任意保険基準

交通事故の被害に遭遇した場合に、弁護士をたてずに損害賠償額の交渉をする際に基準とされるもので、各保険会社ごとに独自に設定された賠償基準になります。

そのため保険会社ごとに設定金額が異なり、差弁護士基準よりは低く、自賠責基準よりは高い賠償額になります。

自賠責基準

自賠責保険での損害賠償の考え方を基準にした計算された損害賠償の計算方法を自賠責基準と言います。

自賠責事態の保険金が少ないため、もっとも損害賠償が安く計算されることになります。

参考:損害賠償額の対比

自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
通院2か月(実日数20日計算) 168,000円 252,000円 520,000円
入院1か月、通院6か月の場合 630,000円 832,000円 1,490,000円

 

どうして3つも基準もあるのか?

過去の裁判で決着された公正な基準である裁判所基準があるのに、なぜ他に2つも算定基準があるのか?

これは保険会社が支出する損害賠償額を抑えるためというのが理由であり、そのための基準になっています。

保険会社が最初から過去の裁判所の判例に従わずに、少ない金額で示談できれば保険金を支払わないことで利益を出す事が可能であり、1件で数百万円から数千万円の利益がでることもあります。

 

自賠責基準にこだわる理由

上記の例で説明すると、通院2か月の治療を要した損害賠償額については、過去の裁判の判例から520,000円が支払われており、今回も裁判で決着をしようとすると同額で決着するものと思います。

そこで保険会社はいかに少ない金額で示談しようかと考える訳ですが、保険会社は最初に一番安い損害賠償額の計算方法である自賠責基準を採用します。

この方法で計算された金額は168,000円になるのですが、この金額は強制保険である自賠責保険で支払われる金額であり、保険会社は1円も持ち出しなく解決することができるので、かなりこの基準での計算方法にこだわります。

つまり、保険会社は請求手続きなどはやってくれますが、保険金としては自社から1円も出さないとする強い意志が働いているのです。

 

任意保険基準の存在理由

自賠責保険で自社から1円も出さずに示談を狙う保険会社ですが、損害賠償金額が小さいため被害者から了承が得られない事がよくあります。

そこで保険会社も多少出しても仕方がないと考えており、その基準が任意保険会社基準というものです。

上記例をまた利用すると、本当は520,000円払わないといけないが、ほぼ半額の252,000円なら良しとするというもの。

その場合、保険会社の負担額は252,000円(損害賠償額)-168,000円(自賠責保険負担)=84,000円(保険会社負担)という構図になり、実際の損害賠償の3割程度を負担するものになります。

保険会社との交渉で値上げする事ができるのは、実はこの金額までとなっており、任意保険基準をこえて損害賠償請求しても時間の無駄でしかありません。

稀に任意保険基準が自賠責基準を下回ることすらあります。

 

裁判所基準について

交渉の中で保険会社の担当者から、『ご納得頂けない場合には、裁判になりますが、いいですか?』と言われ、まるで被害者が無茶難題を言っているクレーマーのような扱いを受けますが、驚くことに裁判になると被害者がほぼ100%勝ち、損害賠償額がかなり増えます。

弁護士は、裁判所を通じて被害者が当たり前に貰える正当な損害賠償額を請求するという行為をするだけであり、決して裏技やテクニックで損害賠償金額を増やしている訳ではないのです。

そのため被害者はなんの後ろめたさを持つ必要はありません。

裁判が大げさだと思われる方もいると思いますが、実は被害者が適正な損害賠償を得るために弁護士に依頼した場合、本当に裁判になることは少なかったりします。

保険会社は弁護士が窓口になった時点で、裁判所基準での損害賠償の計算をしてくるので、すぐに目的を達成してしまうからです。

その金額を超えての損害賠償請求になると、過去の判例を覆す力技になってくるので、勝率は落ちてしまう可能性が高いです。

 

まとめ

保険会社との示談交渉で損害賠償額を上げるための交渉は、かなり難しいです。

そのため、重大事故であるなら、最初から弁護士に依頼することが効果的ですし、早期解決がはかれます。

個人で交渉しようとすると、保険会社が交渉カードのひとつとして『一括払い制度』などのサービスを打ち切るなどしてくる事もあるため、何かと不利になるものです。

しかし、軽傷で損害賠償額が裁判所基準でも期待できないものである場合には、弁護士費用を考えると意味がないものもあるので、その場合には自賠責基準や任意保険基準での交渉になる事もあります。

多くの被害者は、損害賠償額がどのくらいのものになるのか、まるで予想できないと思うので、弁護士に『弁護士を使って保険会社と交渉をするべきかどうか?』を最初の相談にすると良いと思います。

弁護士費用は初回の相談料は無料であったり、有料でも5,000~10,000円程度で済むことが多いと思うので、その後の事を考えれば相談した方が良いかと思っています。

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