トンネル内で停車した車両に追突した事故の過失割合

トンネル内で停車した車が原因での交通事故の過失割合について

停車している自動車に追突した場合には、原則として追突した側が100%の過失となります。

しかし停車禁止区域での事故の場合には、過失調整の対象となり、止まっている側にも過失が認められます。

道路交通法では駐停車について

・坂の頂上付近、勾配の急な坂、トンネル、道路のまがりかどなどは駐停車してはならない(44条)
・車両が夜間、道路にあるときは前照灯、車幅灯、尾灯、その他灯火をつけなければならない(52条)
・車両は駐停車するときは道路の左端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない(47条、47条2項)

そのためBが、駐停車禁止場所に駐停車していたり、ハザードランプをつけていなかったり、道路の左端に寄せて駐停車していなかったりした場合には、それぞれについて10~20%程度の過失が生じることになります。

特殊な過失割合の具体例について

トンネル内で停車した自動車にバイクが追突した事故の過失割合についての判断

東京地裁での判例(平成22年3月9日判決)

事故が発生したのは午後1時55分ころ、自動車はトンネル内での駐停車が禁止されている場所ですが、小便をするため自動車を停車しました。

ハザードを事前に点滅させており、急ブレーキではありませんでしたが、そこに後続のバイクが追突した事故が起きました。

結論として、停車した自動車 30 : 追突したバイク 70

 

裁判所は、自動車には法令に違反してトンネル内で停車させた過失があるとしました。

またバイクには車間距離の保持、前方中止義務の違反があったとしました。

 

別冊判例タイムズでは、駐停車自動車にバイクが衝突した場合の基本的な過失割合について、バイクの過失割合を100パーセントとしています。

(「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂4版」259ページ)

修正として、駐停車禁止場所について自動車の過失割合を10パーセント増としています。そうすると、裁判所は、トンネルであることの特殊性を考慮して、バイクにとって有利な判断をしたと思われます。

高速道路のトンネル内部でチェーン装着していたときの事故

大阪地裁での判例(平成11年3月15日判決)

平成8年2月10日、午前1時10分ころに舞鶴自動車道下りの丹南町のトンネル内でチェーン装着のために停車中の乗用車に、後続車が追突した事故です。

トンネル内で停車の際、ハザードランプをつけていたものの、三角番を設置する等、後続車に対する安全措置を講じなかった乗用車に75%の過失を認めました。

過失割合は、停車していた自動車 75% : 追突した自動車 25%

裁判所の考え

追突された乗用車には、事前にチェーンを装着せず、高速道路のトンネル内の走行車線上に、停止表示器材を置かないで停止させ、チェーン装着作業を始めたが、後方から進行中の車両に対する安全を確保しなかった過失がある。

次に追突車にはトンネル内は、ある程度明るく、見通しも良い状況であり、前をよく見ていれば、乗用車が停車していることに気がついたはずであり、前をよく見ていなかった過失が認められる。

そして、これらの過失の大小を検討すると、前をよく見ていなかった追突車の過失も小さいとはいえない。

しかし、トンネルの外では雪が降っていたとはいえ、高速道路のトンネル内の走行車線の中央付近に、チェーンを装着するため駐車車両があることを予想するのは難しいと思われ、しかも、三角板を置かないで、ハザードランプの点滅だけでは、車間距離の判断は難しいし、停車しているのか、低速で走行しているのかの識別も難しいと推測されるところから、追突車が前をよく見ていなかったとしても、やむを得ない事情があったと判断できる。

高速道路のトンネル内の走行車線上に、ハザードランプを点滅させるだけで、車両を停車させることは、作業車が注意をした事実によるまでもなく、きわめて危険な行為である。

以上の事情を検討すると、高速道路のトンネル内の走行車線上に、三角板を置くなど後続車両に対する十分な安全措置を講じないで乗用車を停車させた責任が大きいと判断され、その過失は75%が相当である。

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